「国際収支とは何か詳しく知りたい」
「世界経済をわかるようになりたい」
今回はこんなお悩みにお答えします!
グローバルな視点で経済を見たときに「国際収支」は重要な知識です。
「国際収支」がわかると、世界経済をより客観的に分析することができ、視野が広がっていきます。
ニュースでよく聞く単語で、「何だか難しそう…」と考える方も多いかと思いますが、意外と簡単に理解することができます。
✔︎本記事の内容
- 国際収支とは何か詳しくわかる
- 経常収支、金融収支、資本移転等収支について詳しく解説
- 日本の国際収支の特徴がわかる
世界経済を理解するのに重要な知識を学べます。
専門用語もわかりやすく具体的に説明していきます!
国際収支とは
国際収支とは、一国が外国と経済取引をし、「どのくらい収入があるのか」「どれだけ支出したのか」がわかる統計のことです。
✔︎参考
国際収支(Balance of Payments)とは、一国の居住者が一定期間内において諸外国の居住者との間で行うすべての経済取引をまとめたものを意味する。
出典:https://glossary.mizuho-sc.com/faq/show/1291?site_domain=default
これを簡単に説明すると、ある国が一定期間に外国とした経済取引をまとめた記録したものです。
一定期間とは大体は1年で表すことが多いです。
この国際収支では、貿易による商品の輸出入、外国への投資、送金などの経済取引が記録されています。
そのすべての取引が複式計上されることから、原則として、貸方(売り手)の合計と借方(買い手)の合計が等しくなります。
例えば、日本がアメリカに車を輸出し、現金を受け取ったとします。
その場合、輸出した日本が貸方となり、輸入したアメリカが借方になります。
国際収支を構成する内容は3つ
国際収支を構成している内容は3つです。
① 経常収支
② 金融収支
③ 資本移転等収支
これらで「国際収支」は構成されています。
そして、国際収支は、必ず
経常収支 + 資本移転収支 + 誤差脱漏 = 金融収支
になります。
それでは、「国際収支」を構成している「経常収支」「金融収支」「資本移転等収支」の特徴を解説していきます!
経常収支とは
国際収支を構成している「経常収支」「金融収支」「資本移転等収支」の3つの中でも最も重要とされています。
そのため、皆さんもニュースなどでも良く耳にすることがあるのではないでしょうか?
経常収支とは、ある国の外国との経済取引で生じた収支のことです。
基本的に経常収支は以下の3つに分けれます。
- ① 貿易収支、サービス収支
- ② 第一次所得収支(所得収支)
- ③ 第二次所得収支(経常移転収支)
これら3つにより、「経常収支」は構成されています。
①貿易収支、サービス収支
貿易収支とは、財(モノ)の輸出や輸入による資金(お金)の流れのことです。
✔︎ポイント
- 輸出すれば黒字
理由:モノを外国に売っているから
- 輸入すれば赤字(ー)
理由:モノを外国から買っているから = 代金を外国に支払っている
輸出が増加して輸入が減少すると、「経常収支」は黒字になります。
日本の特徴として、貿易は基本的に黒字(+)です。
サービス収支
サービス収支とは、運輸、観光、金融、保険、通信のように、形の残らない商品(モノ)による資金(お金)の流れのことです。
経済学において、財をモノやサービスと表し、サービスは形のないモノを言います。
例えば… 旅行会社、飲食店など
そのため、外国人が日本に旅行した際に発生する宿泊費や食費は日本にとっては、サービス収支がプラスになっています。
② 第一次所得収支(所得収支)
資金(資本)や労働などの生産要素が得る所得のやり取りで国境を越えるものです。
例えば、日本が外国の株式を取得して利益を得た場合の配当などです。
もともとは「所得収支」と呼ばれていたが、2013年以降から「第一次所得収支」と呼ばれています。
③ 第二次所得収支(経常移転収支)
政府や民間などが行う外国への援助などのことで、対価性のない一方的な取引のことです。
つまり、先進国が発展途上国に無償で資金援助や資金協力を行うことを言います。
例えば、食事や医療品、衣服などです。
日本は、外国への援助をたくさん行っている国でもあります。そのため、日本からお金が出て行っていることになるので、日本の第二次所得収支は赤字(ー)です。
これら3つの「① 貿易収支、サービス収支」「② 第一次所得収支(所得収支)」「③ 第二次所得収支(経常移転収支)」により、「経常収支」は構成されています。
金融収支とは
金融収支とは、国と国の金融資産に関する取引のことです。
✔︎直接投資
企業などの経営支配を目的とした場合の株式の取引や工場、鉱山などのカタチのあるものに対しての投資。
✔︎証券投資
経営支配を目的としない、いわば資産運用として株式や債券などに投資をして取引のこと。
✔︎外貨準備
政府や日本銀行が外国為替市場で円売り・ドル買いを行うこと取引のこと。
✔︎金融派生商品
株式や債券に価格が連動する金融商品のこと。
これらが主なもので、その他投資も合わせて金融収支を構成しています!
資産の増加を黒字(+)、負債を赤字(ー)で表します。
経営収支が黒字(+)の場合は、お金(資金)が余るので、その余ったお金を使って外国の資産を買うことから、金融収支も黒字(+)になることが多いです。
逆に経常収支が赤字(ー)の場合は、外国から借り入れている負債が多いということなので、支払いが多いということです。そのため、金融収支は赤字(ー)になります。
日本が外国に投資をした場合、日本はプラスになり、外国が日本に投資をした場合、日本はマイナスになります。
資本移転等収支とは
政府が外国へ行う対価性のない取引で相手国の投資となるものです。
いわば、発展途上国への投資のことですね。
まだ道路が整備されていない国に対して、無償援助で道路整備をするといったことが1つの具体例です。
第二次所得収支のような使用したらなくなる食事や医療品といったものではなく、資本形成の援助となる道路や港といったその国に残るものです。
日本の国際収支の特徴
日本の国際収支の特徴はどういったものなのか見ていきましょう。
この図経常収支の図から日本の特徴が分かります。
日本の経済構造の変化
日本は自国で生産して輸出する「貿易立国」から外国の資産の利子や配当金などで利益を得る「投資立国」に変化していきました。
貿易収支 → 第一次所得収支(所得収支) に変化
第一次所得収支(所得収支)として、外国にお金を貸したり、外国の株を買うことで利子や配当金が毎年入って来るシステムということです。
日本の経常収支は黒字ですが、現在は「貿易収支」からではなくて、「第一次所得収支」からの利益!
貿易収支が赤字の時期
2011年から2015年までの4年間、日本の「貿易収支」は赤字(ー)でした。
貿易収支が赤字にならない日本では珍しいことです。
それは、東日本大震災で起きた原発の事故が影響しています。
原子力発電所が停止したことにより、発電方法が火力発電に変わったからです。
そのため、日本は石油や天然ガスの輸入を余儀なくされました。
エネルギーの輸入は高い。
サービス収支が赤字の日本
日本は長年に渡り、「サービス収支」が赤字です。
✔︎サービス収支のおさらい
日本から海外へ旅行をした場合、日本から海外へお金が移動しているので、日本にとっては赤字です。
逆に、海外からたくさんの旅行者が日本に来ると、海外のお金が日本に移動してくるので、日本にとっては黒字になります。
日本が長年に渡り、「サービス収支」が赤字ということは、海外から日本へ来る観光客よりも日本から海外へ行く旅行者の方が多いということです。
しかし、近年は赤字も減ってきており、2017年は赤字が激減しています。
ということは、海外から日本へ来る観光客が増えたことがわかります。
それは中国からの観光客が影響していると言われています。「爆買い」という言葉が流行ったように、中国人は日本で多くのお金を使っているということです。それらが、日本の「サービス収支」の赤字減少に繋がっています。
まとめ
国際収支とは何かわかったでしょうか?
一国が外国と経済取引をし、「どのくらい収入があるのか」「どれだけ支出したのか」がわかる統計のことでしたね。
国際収支とは基本的に3つから構成されていましたね。
① 経常収支
② 金融収支
③ 資本移転等収支
そして、それら3つにもそれぞれ特徴がありましたね。
これらを把握できれば、「国際収支」というワードがニュースで出てきても、ニュース内容を理解できるようになると思います。
それにより、知らなかった世界経済の仕組みが見えてきます。
今回は以上です。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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